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国立西洋美術館で10/7から開催されている、フェルディナント・ホドラー展を見てきました。

19世紀末のスイスを代表する画家、フェルディナント・ホドラーの、実に40年ぶりの大回顧展ということで、日本初公開となる作品も多く出品され、大変見ごたえのある展覧会でした。

会場は

PART1 光のほうへ〜初期の風景画
PART2 暗鬱な世紀末?〜象徴主義者の自覚
PART3 リズムの絵画へ〜踊る身体、動く感情
PART4 変幻するアルプス〜風景の抽象化
PART5 リズムの空間間〜壁画装飾プロジェクト
PART6 無限へのまなざし〜終わらないリズムの夢
PART7 終わりのとき〜晩年の作品群

の7つで構成されています。

各章とも、独特の色彩とタッチの作品が展示されていますが、まず、全体を通して感じたこと。それは、”死と生”ということです。
貧しい家庭に生まれ、若い頃に肉親や兄弟の死に直面したというホドラー。
前半期の作品には、その生い立ちや境遇が色濃く感じられます。
特に、PART2にある、数点の作品・・・「死した農民」「傷ついた若者」など、タイトルからも”死”を強く感じさせる作品があるのですが、その中でも、「怒れる人」という自画像などは、そのぶつけようのない怒りと悲しみに満ちた鋭い眼差しに、見ているこちらまで悲しくなってしまうような作品です。

その、”悲しさ”や”怒り”を超えて、PART3では、”生”を感じさせる動きのある作品が目立つようになり、それは、後に続く風景などの作品にも感じられます。

しかし、その”生”を感じさせるリズミカルな作品の中にも、どこか”死”の影はつきまとっているような・・・。

そう思いながら観賞を進んでいくと、最後の章、PART7で、衝撃的な作品に出会います。

20歳年下の愛人の死を描いた数点の作品。

それは、実に淡々と事実を描いているように見えるのですが、だからこそなお更、深い悲しみを感じさせます。
そう、どう冷静に考えても、言葉では表しきれない気持ちですよね。それも、自分より20も年下の恋人の死なんて。20年上なら、ある程度の覚悟はありますけどね。

この数点の作品は、この展覧会で、私の中で一番印象に残ってます。

このように、若い頃から”死”と向き合い、晩年も”死”と向き合ったホドラー・・・あの躍動感ある作品も、すべては”死”につながるからなんだなと、”死”があるからこその”生”なんだなと、そして、生きることって”生”と”死”の繰り返しなんだなと、美しい作品を見ながら思いました。

なんだか、死の話ばかりになってしまいましたが、間違いなく、この秋冬一押しの展覧会です。

フェルディナント・ホドラー展

会期 2014年10月7日(火)〜2015年1月12日(月・祝)
開館時間 9:30〜17:30(金曜日は20:00まで。入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(ただし、10/13、11/3、11/24は開館。翌火曜日は休館)、12月28日→1月1日
会場 国立西洋美術館
         東京都台東区上野公園7-7

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