出光美術館で開催中の「日本美術のヴィーナス 〜 浮世絵と近代美人画 〜」展を見てきました。

鎌倉時代の”普賢菩薩騎象図”に始まり、江戸・明治・大正・昭和と、歌麿・北斎・上村松園に小杉放庵ら、数々の名高い画家の美人画が勢揃い。

ホント、いろんなタイプの美人画があるんですね。

でも不思議なのが、これだけ描かれた時代も作者も違う美人画なのに、その美しさにはあるひとつの共通点があるということ。

それは”隠”。”陰”ともいうのだろうか。

西洋の美人画のように、肉感的でゴージャスではないのだけど、物静かな佇まいの中からふんわりと漂ってくる色香と芯の強さ。

これって、平成の今でも変わらない日本的美人の価値観だな、と思いました。

若い頃は、こういう日本の美人画や美人の価値観って好きじゃなかったんだけど、それなりに年をとってきたら、だんだんとこちらの美しさの方がわかるようになって。

そう、これで思い浮かぶのが谷崎潤一郎の「陰影礼讚」。

あの本も若いころに読んだ時は「何で?」って感じだってけど。

この美人画とともに今はすごくよく分かる。

やはり日本人は”陰影”に”美”を感じる民族なんですよね。



日本美術のヴィーナス〜浮世絵と近代美人画

2010年9月12日(日)まで
10:00〜17:00 金曜日は19:00まで。(入館は閉館30分前まで)
月曜日休館

出光美術館
東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階
http://www.idemitu.co.jp/museum